ジャンプ高を用いたコンディショニング評価には、科学的根拠と実用性の両面から高い意義があり、多くのトップアスリートが実践しています 1. 神経筋機能の鋭敏なバロメーター ジャンプ高は、**神経筋機能（neuromuscular function）**の状態を反映する敏感な指標です。特にカウンタームーブメントジャンプ（CMJ）では、伸張–短縮サイクル（SSC）の効率がパフォーマンスに直結するため、ジャンプ高の低下は即座に中枢疲労や末梢疲労、あるいは筋出力の協調性の低下を示す可能性があります。 2. 疲労と回復の評価 研究により、ジャンプ高は筋疲労の客観的指標として有効であることが示されています（Gathercole et al., 2015）。トレーニング後や試合後にジャンプ高が有意に低下することが確認されており、回復の進行状況を追跡するための定量指標として活用できます。 3. トレーニング適応のモニタリング ジャンプ高の長期的な変化は、トレーニングによる筋力・パワーの適応度を示すため、競技力向上のモニタリング指標として機能します。特にリアクティブストレングスインデックス（RSI）やテイクオフ時間といった指標と組み合わせることで、爆発的筋力、SSC能力、反応性の変化まで可視化可能です。 4. 簡便かつ非侵襲で再現性が高い ジャンプ高測定は、非侵襲的で機材依存性が低く、また反復測定も容易なため、現場レベルでの導入性・継続性に優れる点が重要です。これにより、定期的なモニタリングが可能となり、**個別のトレーニング最適化や負荷管理（Load Management）**にも活用できます。 5. 怪我の予防とリスク評価 ジャンプ高やその構成指標（例：離地時間、滞空時間、RSIなど）の変化は、神経筋制御の乱れや運動パターンの変調を示唆し、筋損傷や下肢障害（例：ハムストリング損傷、ACL損傷）のリスク評価にもつながります。