閉塞感が日に日に増すなかで、狭いコミュニティ内で批判や攻撃、分断が頻発している。
哺乳類というのは群をなす事で他者の攻撃からの希釈性を高め、個人が生き延びる可能性を高めてきた。それは一方で、群のなかで仲間外れを見つけ、それを弾き出す事で集団としての統制を高め、群の均一性を高める事にもつながっている。
悲しい事に群というのは、仲間外れを見つけると嬉しくなってしまう。それを排除すれば群の均一性が高まり、生き延びる可能性が高まるからだ。
しかし、ある程度安定した環境であれば群の均一化は生存戦略として効果を発揮するが、酸素濃度が極端に低下するとか、大干魃が発生するといった著しい環境転換が発生した時には、性質が均一な群は容易く全滅してしまう。
緊急事を生き延びるには、突然変異や遺伝子損傷など、アクシデンタルな多様化が必要とされてきた。
もし、自分が他者と異なった性質を持っている事に気付いても、恐れる必要はない。それは必要な多様性で、可能性だ。同時に、みんなと違う性質を持つ他者を見つけても、恐れを抱き攻撃する必要は全くない。バリエーションの豊富さは、可能性や選択肢を増やす契機になる。
例えば左右の手のシワが全く均一だったら、摩擦が生まれず物を掴みにくい。左右が違うからこそ、効果を発揮できる。
こういう状況だからこそ、何を大切にして、どう生きるのか考え抜く必要があるし、他者のそれをまた、尊重する必要がある。
互いを攻撃するのは不安の裏返しである一方で、互いを容認し許容するのは希望を生かす道だ。
後者の道だけが、未来に続いている。
2020年4月
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