科学とはなんだろう
更新日:2020年1月11日
よく「科学的」という言葉を売り文句にしているトレーナーの方を見かけるが、本当に「科学」という言葉の意味を理解しているのか、聞きたくなる事がある。
本来、科学的という言葉は結果的に「再現性」という事に帰結していくと思う。この「再現性」を証明するために「問題の発見→仮説の設定→実験→結果の分析→結論」のサイクルを回し、学会等の公的露出を経て他者の検証に晒されて、サバイブすれば最終的に「常識」と呼ばれるものに変化していく。
一般的に使用される「科学的トレーニング」の意味は、そうした過程が存在している事を意識したものと言うより、「石井先生が言っていた」とか「論文に書いてあったって言っていた人がいたのを聞いた事がある」「NSCAのエッセンシャルに書いてあった」的なレベルの話に過ぎないのではないか。
「科学的」の点で特に大切なことは、「仮説と実験手法の組み合わせの妥当性」と、「研究の限界」を説明できる事で、トレーニング科学の二次情報マニアの多くが「研究の限界」という基本的なことを理解せず、Aという限定的な結果を万人に当てはめるようなトレーニング指導を「科学的」と呼んでいるに過ぎない。
「有名な誰かが正しいと言っていた」を無思考に提供するのは、科学じゃない。本に書いてあれば科学な訳でもない。
「科学的」を理解したければ、自らの力で問題を見つけて、一つの仮説を立て、自分の力で仮説を証明する訓練をしてみると良いのではないだろうか。我々は日々の仕事のなかでそれが出来るだろう。
「科学」の真髄は、人に教えてもらうものじゃなく、実践するものなんだと思いますね。