焦りや不安を感じたら
今でこそ日本代表トレーナーだの選抜だの、プロチームだのやら、スポーツ関連の博士課程出身やらATやらCSCS、EXOSだのNASM-PESだのとスポーツに関わるトレーナーとして完全にこの業界にどっぷり浸かっているように見える僕の経歴だが、20代中盤いや、それどころか30歳近くまで自分は亜流の中の亜流で、メインストリームにいる人達を羨む毎日を送っていた。
商学部出身の僕は、所謂メインストリームのトレーナーの経歴とはまるで無縁だったし、どうやったら普通のトレーナーらしいキャリアパスを描けるのか全く分からないまま社会を漂流していたし、そもそも「トレーナー」がなんなのかも理解できていなかった。
その分、コンプレックや焦りが強かった。自分が目指す「トレーナー」という仕事において、自分よりも何か知ってそうな人は眩しかったし、重厚な知識や経験を持っているように見えて劣等感を感じたものだ。
その焦りの表れが、僕の経歴の一部だ。今まで取った資格は数知れず、海外だろうと国内だろうと、興味を覚えたものはどんなに困窮しようが、借金してもいい覚悟で構わず参加した。鍼の専門学校だろうが、博士課程だろうが、将来借金まみれになるリスクも怖いとも思わず進学した。
いろいろな事を知るのが楽しかったのもある。でも、勉強していく事の最初の原動力は、自分のスタートが普通のトレーナーの人達よりも何歩も後ろからだという焦りだったんだと思う。
オンラインの会員の方にも、現状に焦りや悩みを感じている人がいると思う。むしろ、そういう人だからこそ何かキッカケを掴みたくて入会していただいてるのかも知れない。
自分の理想を目指して生きる限り、焦りや不安から逃げる事は出来ない。ゲーテ曰く、「学び続ける者は、悩み続ける」だ。
僕が思うに、焦りや不安から逃げる事は出来なくても、それらをコントロールする事、そして恐れる自分を理解する事は出来る。
1番マズイのは、そうした恐れる自分から逃避するために何か一つの思想や方法論、コミュニティに逃げ込む事だ。皆んなで同じポーズをとって写真に収まれば、一時の借り物の安らぎを得る事は出来るかも知れない。でも、それはただの弱者同士の傷の舐め合い、現実逃避に過ぎない。
不安や悩みと立ち向かう唯一の方法は自分で考え、行動する事しかない。志しを立てて、行動をもって進むしかない。
そんな風に考えると、不安や悩みを解決するための最初の一歩は、自分のやるべき道を見つける事なのかも知れない。自分のやりたい事を志すという、シンプルな事ね。
2020年1月