服を着たゾウは人間の夢を見るか

本を読むのが好きで、毎日何か読む。


専門書も当然読むけれど、自伝から経営学的なもの、エッセイからインタビュー、とにかく勉強になりそうなものは片っ端から読む。


でも、自分でもなぜか分からないんだけれど、小説だけはほとんど読まない。


大学生くらいまでは安部公房とかめちゃくちゃ好きで良く読んでいたんだけれど、社会に出てからは小説的なのは、なぜかあんまり読まなくなってしまった。


そんな小説読まなくなったオジサンの自分が、すごく覚えている小説?がある。


星新一さんはショートショートという超短編の超絶名手で、僕は小学校の時からめちゃくちゃハマって読み漁ったんだけれど、その珠玉の名作の中に「服を着たゾウ」というのがあって、この作品は事あるごとに思い出す。


「自分は人間だ」という催眠術をかけられたゾウが最終的に国家元首になって、インタビュアーになぜゾウなのにそこまで登り詰める事ができたの?と聞かれる話なんだけど、ゾウは「人間がどういうものか自分は分からなかったので、めちゃくちゃ人間について勉強して、その通りにやってきたんだけど、そしたら気付いたら首相になってたんです。パオン。」と答えた、みたいな話だ。


文章力の都合でこの話の面白さが全く伝わらないかも知れないんだけど、これめちゃくちゃ示唆に富んだ話で、今でも忘れられない。


人間って、なんだろう。僕には今でもよく分からない事がたくさんある。


たまたま先日リクルートの創業者江副さんの伝記「起業の天才」を読んでて、江副さんの側近だった人が「江副さんは、服を着たゾウなんですよ」と語ったという逸話が出てきて、まさかの星新一ネタにビックリしたんだけど、江副さんは東大の教育心理の出身だから、「人間の行動の根源は何か?人間とは何に基づいて行動するのか?」というのを悪魔的なまでに理解していた、という事らしい。


人間とは何か、その形や運動、行動、それがなんでそうなるの?、そんな事を僕達は扱う仕事なんだけれど、一度ゾウになったつもりで人間の事を1から考えるのも良いよな、と思ったりもする。


だから、僕にとっては小説よりも動物関係の本が面白いと感じられるのかも知れない。


※「服を着たゾウ」の次に印象に残ってるのは高校生の時に読んだ安部公房さんの「他人の顔」という小説なんだけど、これもまた面白くて「自分」ってなんだろう?と考えるキッカケになったよね。


全然違う感じだけれど、東野圭吾の「秘密」とかが好きな人は胸に来る内容なんじゃないだろうか。