「アンラーニング」という言葉がある。
簡単に言えば自分の中に育ったビリーフ(思い込み)やフレーム(思考の枠組み)を消去し、新たな側面から物事を捉えるために今まで学んできた事をあえて捨て去る、みたいな事だ。
長く勉強してきた事や慣れ親しんだ知識は安心できる拠り所になるので、ある程度勉強したり経験を積むと、そこからはみ出たモノには不快感を抱きやすい。自分が何かを知らないような気がして不安になるからだ。
なので、知らない事を知ろうとするよりも知っている事を何回もリピりたくなるのが人間の悲しい性。
冒険に出るより家でテレビを見ている方が安心安全なので、そりゃそうなる。
言ってみればアンラーニングは、そんな安心安全な居場所を捨てて、あえてテレビを売り払いそのまま家を飛び出すようなものなので不安・危険・不快極まりない行為だ。
でも、これがメチャクチャ重要だ。進化生物学の古典的仮説に、「赤の女王仮説」というのがある。
ナニソレ?と思うだろうけれど、これは鏡の国のアリスに出てくる赤の女王の「この国では同じ場所に居続けるために常に走り続けなきゃならない」という台詞が元ネタで、種が生き残るためには赤の女王が走り続けるかのごとく常に進化・変化・適応が求められるという「絶滅の法則」を説明したものだ。
私達もそうなのだ。
同じ場所にいるためには、常に進化・変化・適応が求められる。そのためには、学んできたものを常に自己破壊し自分を更新し続ける必要がある。
それができなければ、絶滅した生き物図鑑行きになるのだ。困窮するハイスペック中年トレーナー図鑑に載る事になってしまうのだ…。
まあ、でもそんな強迫観念的な生き方は息苦しくなってしまうから、思い込みや定型化された思考の枠組みをなくして、変わる事自体に、学ぶ事自体に楽しさを感じられるようになるのが大切なんだろうなと思う。
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