「本を出す」ブランディングは終了している

もう6年くらい前だろうか。聞いた事がある出版社から「本を出さないか」という話をもらった事がある。


All Aboutで記事を書いたり、資生堂やカネボーの広告記事を書くような事もやっていたので、結構乗り気で打ち合わせに参加した。


そこで驚いたのが本のあまりの利益率の低さだ。


日本の出版ビジネススキームは諸外国と異なっており、「取次」という仲卸が存在する。


取次は特に編集や企画を行う訳ではなく、全国の書店への配本を仕切るシステムで、これが入る事によって本の価格は5%程度上がる。


さらには本の装丁デザインや印刷の紙、インク、製本…著者の創造に支払われる代価は様々なコストにより圧迫される。


そんな話を一通り聞いた後、「これ自分で電子書籍出した方が効率良くないっすか?」と聞いてしまった。


「編集者もつかない、取次もないんじゃ売れないですよ」と鼻で笑われたけれど…


その会話の後から、僕の頭の中は「内製で出版社を作るのは面白いな…」という思考がグルグル回り出して、結局ほとんど打ち合わせの話を聞いていなかった。


そもそも出版社から本を出すメリットは「印刷にかかるコストと在庫を抱えるリスク回避」にしかないし、取次も販路の確保ができれば不要にしか僕には思えなかった。


この人鼻で笑ってるけど、結局従来の出版業の本質は中抜きビジネスだな…という印象を拭えなかった。


この人達なしで、とりあえず、やってみる。

「お話聞いて思いました。自分で出してみます。」


「え?あ〜…分かりました。がんばって下さい笑。」と、呆れた顔で苦笑されたのを覚えている。


「本を出すブランディング」は古典的な手法だが、僕はそんなブランディングよりも出版ビジネスをミクロで完全内製で始める事の方が、よほど魅力的に思えた。


そんな訳で、その4年後に初めてオンラインテキストを世間に出した。ウェブインフラの発達がMoveFree!に出版社の機能を持たせてくれた。


昨日初めて集計してみたが、2019年の出版開始から、オンラインテキストは累計10,000冊近くダウンロードされていた。


マスビジネスから見たらハナクソかも知れないが、全くの一個人が立ち上げたものとしては悪くない線だろうし、何より「ステークホルダーを気にして言いたい事が言えない」という魂を失った内容にならずに済むし、自由度高く機動力を保てるのが最大の強みだと思う。


とりあえず、やってみる。

座右の銘にしようかな。